今と昔で、シェルコードバンの品質に違いはあるのか?
「昔のコードバンと今のコードバンには、品質に違いがある」という話を耳にしたことはありませんか? 何をもって品質に違いがあるとするかは人それぞれですが、ここでは、その可能性について検証しています。 シェルコードバンの昔と今の品質の違いについて興味がある方は、ぜひご一読ください
シェルコードバンの「製造方法」が変わった?
もし今と昔でシェルコードバンの品質に違いがあるとすると、「製造方法が変わった」と真っ先に考えるのが普通ですが、果たしてどうなのでしょうか? シェルコードバンを手がけるホーウィン社は、1905年に米国イリノイ州で創業。クロムエクセルレザーやオイルヌバックを始め、様々な皮革を高い品質で生産し続けているタンナーです。 1世紀以上もの間、革を作り続けていますが、多くのタンナーが効率化や大量生産を目指し工業的な製法に移っていく中で、ホーウィン社は創業以来、鞣し工程の大部分を手作業で行っており、創業当時から同じ手法、道具を使うことにこだわり続けています。 つまり今も昔も、シェルコードバンの製造方法に違いはない、ということになります。
シェルコードバンの「厚み」に違い?
革の一番重要なポイントは「厚み」と言われますが、果たして今と昔でシェルコードバンの厚みに違いはあるのでしょうか? コードバンは、主に欧州で食肉用として生産される農耕馬から採取されるお尻の皮を原皮としています。 その皮膚組織の内部にある、厚さわずか2mm程度の繊維層だけを削り出したものに加工を施し、コードバンの革にします。 コードバンも他の革同様、肉厚になればなるほど中の繊維がぎっしり詰まっており堅牢度が高くなるのですが、昔に比べると農耕に馬を使わなくなったぶん、お尻が叩かれていないため、コードバン層が薄くなっていると言われています。 そのため近年では、革の補強のために銀面を削らず残して、床面との2層構造の状態でコードバンとして製品化することが多いそう。 つまりコードバン層は薄くなっても、革の厚みとしては昔のコードバンと大きな違いはないと考えられます。
シェルコードバンを使った「製品の仕上がり」に違い?
「昔と今のコードバンの品質に違いがある」とする、もっとも有力と思われる理由がこちら。 コードバン層は、農耕馬の起源となる野生の馬が、天敵である肉食のオオカミなどに背後から襲われたときに、お尻を守るためにできた革の鎧のようなもの。 家畜の馬は外敵に襲われる心配がないため、進化の過程でコードバン層を持たなくなったと言われています。 さらに、一頭から採取できるコードバン層の面積が年々小さくなっているとも。 そうした理由から現在は、靴を一足製造するのに複数の馬から採取したコードバンを使用することが多いそう。 そのため仕上がりが均一になりにくく、モノによっては、昔と比べシェルコードバンの品質が落ちたように見えるのではないでしょうか。
万双では、シェルコードバンをふんだんに使った製品を展開しています。
万双では「ダブルホーウィン」シリーズと銘打ち、ホーウィン社のシェルコードバンを使用した製品を展開。 「被せ型財布」「センターカバー二つ折り財布」「二つ折り財布(小銭入付)」「ラウンド長財布」「長財布(小銭入付)」「名刺入れ」をご用意しています。 カラーは「ブラック」と「No.8(ダークバーガンディ)」の2色をご用意しています。 また国内のタンナーが手がけた水染めコードバンを採用した製品も展開。こちらは名刺入れや財布にとどまらず、定期入れやシューホーン、キーケースに手帳、アップルウォッチバンドなど様々な革小物を製造。 カラーは「ネイビー」「ボルドー」をご用意しています。