ブライドルレザーの「硬さ」がもたらす、メリットとデメリットについて。
「本格的」と言われているものほど、厚く硬いのがブライドルレザーの特徴であり、他の革では味わえない魅力です。
このブライドルレザーの硬さは、バッグや財布などの製品化にあたってどんなメリットやデメリットをもたらすのか。
また硬いがゆえに「ひび割れ」しないのか。「ひび割れ」をさせないための対処方法はあるのか…。
ここでは、ブライドルレザーの硬さがもたらすメリットやデメリット、「ひび割れ」させないための方法などについてご紹介します。
ブライドルレザーの魅力や扱い方を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ブライドルレザーの硬さについて【メリット】
よく知られているように、ブライドルレザーは馬具用として開発されただけあり、他の革と比べ非常に硬いのが特徴の一つです。
その比類なき硬さは、製品化した商品(バッグや財布など)が「型崩れしにくい」というメリットを生み出しています。
さらに他の革の場合、製品化する際に型崩れを防ぐために芯材を使うことがほとんどですが、ブライドルレザーは厚く硬いので芯材を使う必要がほとんどありません。
このため「ブライドルレザーの本来の魅力を十分に味わえる」というメリットも。
なお長年使い込んだりクリームを使った手入れなどをすることで、多少は柔らかくなることがありますが、基本的にブライドルレザーの硬さはほとんど変わらないとお考えください。
ブライドルレザーの硬さについて【デメリット】
ブライドルレザーを使い製品化する場合、その硬さにより加工が難しく「製法が限られる」というデメリットもあります。
一般的にバッグを製造する場合、裏返した状態で縫製をし、その後に表にひっくり返す「内縫い」という製法を使いますが、ブライドルレザーを使ったバッグの場合、その硬さゆえにこの製法が使えません。
もし「内縫い」製法を採用できたとしても、最後に表にひっくり返すと製品全体がシワシワになってしまい商品化できません。
これが、ブライドルレザーを使った製品がほとんど「外縫い」で製造される理由です。
ブライドルレザーを「ひび割れ」させないために。
ブライドルレザーは、革に厚みがあり硬いため「ひび割れ」することがあります。
その主な原因となるのが、革内部の水分や油分が不足することによる乾燥。
一度「ひび割れ」してしまうと、どんなにクリームを塗ったとしても元には戻りません。
「ひび割れ」させないためには革の乾燥を防ぐしかなく、そのためにはマメに製品を使って手の脂を染み込ませ、さらに定期的なお手入れが必要となります。
手入れをする場合は革表面にワックスを塗るのではなく、革内部に水分や油分が行き渡るよう、オイルやクリームといった浸透性の高いものを使いましょう。
ブライドルレザーの硬さを活かすための万双の工夫。
万双では、本場英国の厚みのある本物と呼ぶにふさわしいブライドルレザーを使用。
重厚な仕上がりと長年ご愛用いただける耐久性を実現していますが、ブライドルレザーの最大の特徴である硬さを活かすために、製造工程で工夫を凝らしています。
たとえばカジュアルバッグの代表格とも言えるトートバッグは、曲げや縫製などの加工段階での人の体温によるブライドルレザーの柔化を防ぐために、すべての工程を最低限の技で作り上げています。
これにより、ブライドルレザーのナチュラルな素材感や、光沢を帯びるほどのハードな質感を実現しています。
また世に出回っているブライドルレザーの中には、ツルっとした質感を出すために顔料仕上げを施したものもありますが、その場合、使っているうちに顔料が割れてきてしまうという問題をはらんでいます。 そこで万双では顔料を使用せず手間のかかる染料仕上げを採用、これにより使い込んでも表面の割れが発生しないようにしています。