ブライドルレザーのブルームの正体と起源、その扱い方について。
ブライドルレザーと言えば、革の表面に浮き出ている白い粉状のものを思い浮かべる方は多いと思います。
「ブルーム」と言われるこちらの白い物体の正体は一体なんなのか。
どうしてブライドルレザーだけ「ブルーム」が浮き出るのか。
同じブライドルレザーでも「ブルーム」が出ないものはあるのか。
「ブルーム」はそのままにしておいてもいいのか、あるいは取り去った方がいいのか…。
ここでは「ブルーム」に関する基本的な知識と、その扱い方についてご紹介いたします。
是非ご覧ください。
ブライドルレザーの「ブルーム」の正体とは。
雨水などの水分が革に浸透するのを防ぐと同時に、革の中に含まれる水分を保持することで強度を保つために、ブライドルレザーの伝統製法では、蜜蝋と動物油脂を混ぜ合わせた「ブライドルグリース」を塗り込みます。
「ブライドルグリース」を染み込ませる期間は5ヶ月以上とも言われ、フルグレインブライドルレザーのように銀面を削らずに残したまま鞣す方法だと、1年以上かかる場合もあるそう。
このように、長い時間をかけて革の加工時に塗り込まれたグリース成分が、凝固して表面に浮き出た白い粉が「ブルーム」です。
つまりブライドルレザーの「ブルーム」は、製造過程で「ブライドルグリース」が十分に革に染み込んでいる証でもあるわけです。
ブライドルレザーの「ブルーム」の起源について。
ブライドルレザーは英国で数百年間にわたって使われている伝統的な革で、もともとは馬具用として開発されました。
英国は雨が多いため、革の内部にまで水が浸透してしまうことを防ぎ、さらに革が乾燥した際に内部の水分が外へ逃げてしまわないために、ブライドルレザーの表面を「ブルーム」で覆う必要があったと言われています。
ちなみに「ブライドルグリース」は動物油脂に蜜蝋を混ぜて作られますが、液状の油脂だけでは革内部にどんどん染み込んでいってしまうため、これを革表面で凝固させるために蜜蝋を混ぜているということです。
「ブルーム」が浮いてこないブライドルレザーもある!?
英国産のブライドルレザーのほとんどは「ブルーム」が表面に浮いた状態で出荷されますが、ブライドルレザーのメーカーの中には、出荷前に傷や皺を確認するために「ブルーム」をきれいに落としてしまうところもあるそうです。
また新品のブライドルレザーでも、革に十分「ブライドルグリース」が塗り込まれていないと、「ブルーム」が浮いてこない場合もあるということです。
万双が考えるブライドルレザーの「ブルーム」の取り扱いについて。
革表面に浮き出ている「ブルーム」は、人の手の体温や擦れなどで自然となくなっていきますが、その際に色むらが生じる場合があります。
また「ブルーム」を残したままブライドルレザー製品を使用すると、洋服に白い粉状のものが付いてしまうことも。
そのため万双では、なるべく使用前にプレケアとして「ブルーム」をブラッシングで綺麗に落とすことをおすすめしています。
ご自身で「ブルーム」を落とす場合は、まず馬毛などのブラシで全体に円を描くようにブラッシングしてください。その後、仕上げにネル素材などの柔らかい布で力を入れずに乾拭きをして、革表面に透明感が出てきたら完了です。
なおこの作業の際、ブラシや布を強く擦りつけるようにしてブルームを落とそうとすると、革が傷むことがありますので、ご注意ください。