10年間の想いが結実。
“所有感”を刺激する革
『ダブルオイル
シュリンク』
この革の最大の特徴と言ってもいいのが、
一般的なシュリンクレザーでは味わえない、
その弾力です。
通常は一度で済ませる加脂を
あえて二度に渡って行い、
じっくり時間をかけて植物性のオイルを充填。
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1度目
加脂
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2度目
加脂
指で押すとゆっくり戻って来る、
粘りのあるコシを実現しました。
また、革の隅々に行き渡ったオイルによるしっとり感と、
2ミリというほどよい厚さが相まって、
思わずギュッと握りしめたくなる。
革好きの方ならずとも、永遠に手にしていたくなる質感に仕上がっています。


経年変化ですが、十分に充填されたオイルは劣化の原因となる乾燥を防ぎ、
使い込んでも瑞々しい状態を保ってくれます。
さらに革の内部まで染料を浸透させる「芯通し」を施しているため、
表面にキズがついても目立たず、
内部から染み出てくるオイルによりそのキズも味の一部へと変化。
使い込むほど
所有感を刺激してくれる革が
出来上がったと自負しています。
シュリンクレザーとは

シュリンクレザーとは、シボと呼ばれる凹凸のある独特の模様の加工を施したした革を指します。
一般的には、クロム鞣しの段階で特殊な薬品に浸して表面を収縮させてシボを出す「シュリンク加工」と、型を用いて人工的にシボ模様を作り出す「型押しシュリンク加工」の2種類があります。
使用している革が良質であればあるほどシボ目も美しい品格あるものになり、シボが細かければ細かいほど高級感があるとされています。
また、収縮加工によって革の密度が高くなるため、他の革と比べて耐久性が高く、シボ模様のおかげで傷が目立ちにくいといった特徴があります。
古くからのお客様はご記憶にあると思いますが、
万双では以前、シュリンクレザーを使った製品を展開していました。
クロム鞣しならではの発色や、上品な雰囲気に魅力を感じてはいましたが、
経年にともなう風合いの変化を求めるお客様のほとんどが、
「万双らしくない」と
物足りなさをお感じだったことから、手がけるのを止めることに。
しかし
という想いは強く、その頃に出会った革に関する造詣が深い革屋さんと一緒に、
サンプルを作ってはやり直しの日々がスタートしました。
以来、何度作っても一向に商品化されないにも関わらず、
タンナーさんも諦めずに幾度も幾度もチャレンジをしてくれました。
その結果、
シュリンクレザーが完成したのは2024年の春。
最初に革屋さんに自分たちの想いをぶつけてから、
実に10年の月日が流れていました。
革屋さん、タンナー、そして我々の10年にわたる想いが重なり結実したこの革を、
ぜひ一人でも多くの皆様に手にとっていただければと思います。

万双のこだわりと革新の融合

シュリンクレザーは、英語の「shrink(縮む、収縮する)」が
語源となっているように、鞣しの段階で濃いタンニン液などを使用することで
革の繊維構造を収縮させ、革の表面にシボと呼ばれる凹凸を作り出した革です。
この加工作業を、通常の革の2倍以上の時間と手間をかけて施すことで、
小粒で品格のあるシボを出すことに成功しました。
接触機会の少ない凹部は色艶の変化が遅く、
凸部は比較的早く変化するのがシュリンクレザーの特徴ですが、
凹凸の差があり粒立ちが際立っているため、
一般のシュリンクレザー以上に色味の違いによるコントラストが
楽しめるところが特徴です。

一般的なシュリンクレザーは、クロム鞣しによる顔料仕上げが施されています。
顔料は革の繊維の中まで色が入っていかないため、
表面を覆う形で色を着けることになります。そのため鮮やかに色が引き立ちますが、反面、革らしい自然な風合いや経年変化は望みにくいのも事実です。
革の繊維の奥までしっかり染料を浸透させながら、顔料染めに勝るとも劣らない発色を出すことを追い求めたのも、この革を開発するにあたっての大きなチャレンジでした。
フルアニリン仕上げは、革をアニリン染料だけで着色し、表面を顔料などで塗装しない革の染め方です。
革本来の風合いをそのまま活かすため、シワや模様がより深く残り、
高級感のある仕上げになります。
このフルアニリン仕上げを採用した上で、「手は一番の道具」と語るタンナーのベテラン職人さんが、2回にわたってじっくりと手染めを施し、
自然な発色と艶を実現。
さらに、革の内部まで染料をしっかり浸透させる「芯通し」を施すことで、
奥深い発色を出すことに成功しています。

通常、シュリンクレザーはクロム鞣しがほとんどですが、あえて手のかかるクロム鞣しとタンニン鞣しの両方を行う「コンビネーション鞣し」を採用。
クロムとタンニンの絶妙な配合比率により、発色が良くソフトなクロム鞣しの革に、タンニン鞣し革のような自然な風合いとコシを加えた革に仕上げています。
さらに、クロム鞣しの革では味わえないエイジングを楽しめるのも特徴の一つ。
ゆっくりではありますが、使い込んだ時間とともに色艶が増し、よく触る部分は油分などを吸収し、ふっくらとして優しい表情になるなど、使う人に合った形に変化していきます。
長い年月をかけて、手入れをしながら使っていくことで必ず良い風合いになるので、じっくりとお付き合いいただければと思います。

このシュリンクレザーが生まれた兵庫県たつの市は、
古くから鞣し革の生産拠点として発展し、鎌倉時代から皮革素材作りを伝統産業としてきました。
ここまで皮革産業が発展した背景にあるのが、市内の中心を流れる清流「揖保川」の存在です。
革を鞣すには大量の水が必要で、牛一頭の皮を鞣すのに必要とされる水の量は、なんと2トン。
そのため、各タンナーがそれぞれ工場に地下水を引き、水を補っています。
また、「水質によって仕上がる革の品質が異なる」と言われているだけに、
良質な水を豊富に供給してくれる「揖保川」は、皮革製造に無くてはなりません。
さらに革を干すのに適した温暖な気候であり、
生皮の保存に必要な塩の産地である赤穂市が近いことも、革産業の発展を支えたと言えます。
たつの市のこうした豊かな自然環境もまた、この革の個性を生み出した、
大きな力の一つになっているのです。

こちらの革を使った製品のカラーバリエーションは、
「ブラック」「ネイビー」「キャメル」「グレー」の4色。
日常使用しやすい「ブラック」「ネイビー」はもちろんですが、
この革ならではのナチュラルな発色や風合いを楽しめる
「キャメル」「グレー」にも是非ご注目ください。
先見性と高度な技術を持つ
仕事人たちが手がけました。

このシュリンクレザーは、兵庫原西南部の小京都と呼ばれ、鎌倉時代から皮革素材作りを伝統産業としてきた、兵庫県たつの市の揖保町に本社を構えるタンナーの手によるもの。
同社の代表は20代という若さで、イタリアのミラノで年に1回開催される世界最大の皮革見本市「リニアペレ」に自社の革を出品。以来、グローバルな視点で日本の革を見続けてきました。
職人気質なマインドと時代を読む先見性を併せ持つ、稀有な仕事人が代表を務めるだけあり、
「ファッションの流行を意識しながら、
常に時代に合わせたカジュアルな革を作り出す」
というこだわりが、今回の革にも見事に活かされています。
ダブルオイルシュリンク
トートバッグ
63,800(税込)
58,000(税抜)
ビジネスにもカジュアルにも使えるトートバッグを目指し、柔らかさと品格を兼ね備えたデザインに仕上げました。新開発のシュリンクレザー「ダブルオイルシュリンク」を使用し、品のあるシボと美しい発色を実現。胴部分は芯材なしで、柔らかさを活かしたラインに。ハンドルには耐久性と美しい経年変化を見せる「双鞣和地」を採用し、底部には鋲を5点配置して、日常使いに耐えられる仕様にしています。
ダブルオイルシュリンクを
使用した商品一覧