コードバンのお手入れに関する基本や原則について。
農耕馬の臀部にある皮から削り出した層を鞣して作られる革「コードバン」。
一般的な牛革は銀面(革の表面)を使うのに対し、コードバンは皮の内部にある床面(革の裏側)を削り、高密度な層のみを使用します。そのためコードバンは繊維の密度が極めて高く、伸びにくくて型崩れしにくいという特徴があります。
しかしその一方で傷つきやすく、水に弱いという側面も。
ここではコードバンの特徴や魅力に基づいた、お手入れの基本や原則についてご紹介いたします。
コードバンの手入れは、使用後のブラッシングから。
コードバンに限らず革全般に言えることですが、革表面についた埃を放置していると革の油分を吸いとられ、乾燥させてしまいます。またその状態が長く続くと、革の表面がひび割れたりします。
使用しない時には付属の不織布や箱に入れ、風通しの良い日陰に保管してください。
また使用後は、ブラッシングをして必ず埃を落としましょう。
さらに、表面の指紋を拭き取るだけで十分にコードバンの輝きを取り戻してくれるので、靴磨き用のクロス(布)や、使い古した下着やTシャツなどの柔らかい布地で磨くだけでも、日々のコードバンのお手入れとしては十分です。
細かい傷は“馴染ませる”のがコードバンの手入れの基本。
コードバンは非常に強い革ですので、よほどのことがない限り裂傷のような致命的な傷がつくことはありません。ただし光沢感が強いため、細かな傷やスレも目立ちやすいと言えます。
もしこうした細かな傷やスレが気になるようでしたら、使い古したシーツや下着などの柔らかい布で乾拭きすれば馴染んで目立たなくなります。
なお乾拭きする際は、硬い繊維の布やブラシなどを使用すると傷の原因になるので、ご注意ください。
乾拭きをしても目立つような傷は、コードバン専用のクリームなどをごく薄く塗り込んで磨くと目立ちにくくなります。ただしクリームの塗りすぎはコードバンの光沢を失うことにつながるので、クリームは用法・容量を守り、経年変化で傷が馴染んで来るのを待ちましょう。
コードバンの水ぶくれは「急激に乾かさない」が手入れの原則。
コードバンは、濡れると水ぶくれのような状態になります。
コードバンは高密度な繊維が起毛した状態で、その繊維を寝かしつけることで独特な光沢を生みだしています。水ぶくれは、この繊維が水に触れたことで立ち上がって発生します。
一般的には「角のないガラス瓶で押さえつける」「全体を水で濡らす」などが、水ぶくれ対策として挙げられますが、やり方を間違えると革に傷をつけてしまったり、コードバン特有の光沢を失ってしまうことも。
そうしたリスクを避けたい場合は、水がついてしまった部分を乾いた布で優しく押さえるようにして水分を取り、乾かしてください。
ただし直射日光やドライヤーで乾かす事は絶対にやめましょう。コードバンに限らず革は急激な変化に弱いもの。陰干しでじっくり乾かすことをおすすめします。
その後は、いつものブラッシングやクリームを使った手入れを繰り返せば、時間の経過とともに馴染んでいき、水ぶくれが目立たなくなります。
万双が考える「コードバンの手入れ」。
コードバン製品をご使用するにあたって、最初に知っていただきたいのは、「傷もコードバンの魅力の一つである」ということです。
コードバンは傷が目立ちやすい素材だけに、日常使用をしていれば必ず傷がつきます。
とくに弊社が使用しているコードバンは染料仕上げにより自然な風合いを生かしているので、顔料コーティングを施したコードバンに比べると、傷や水ぶくれが目立ちやすいのが正直なところ。しかしそれが本来のコードバンの味である。私たちはそう考えています。
コードバンは使っていくうちに寝かしつけた毛が起き上がって毛羽立ちが出ますが、弊社オリジナルの「エイジングクリーム」を使い寝かしつければ、コードバン特有の艶や光沢が蘇ります。
店頭までお持ちいただければ、弊社スタッフがその場でコードバンのお手入れをさせていただきますので、遠慮なくお申し付けください。